書評:人が壊れるマネジメントプロジェクトを始める前に知っておきたいアンチパターン 50

『人が壊れるマネジメント プロジェクトを始める前に知っておきたいアンチパターン50』を読んだ。よくあるマネジメントの本に書かれているマネージャーとしてのあり方だけにとどまらず、メンバーのメンタルが壊れてしまうアンチパターンについて数多くのパターンが挙げられているのが特徴的な本。

ほかにも長時間労働により壊れる、人間関係で壊れる、などITに限らない部分も非常に参考になる。特に昨今の日本では人材不足が深刻化しており、人が壊れるというのは企業にとってもリスクが高い。
結局のところITを形作るのは人なので、人に焦点を当てるマネジメントというのは大事だと思います。

アンチパターンの多くは、IT業界に限らないからも知れないが、IT業界に長く身を置いていると多くのパターンを経験したり、周りで見たことがある。そう言う意味では、経験として断片的に知っていたアンチパターンがまとめられており、マネージャーになったら是非読んでみると良いと思う。

全体的には、パターンについては「あるある」だと読みながら思う一方で、その対策については言うは易し行うは難しだなぁと思うものも多い。
しかし、そういった内容を言い訳にして、アンチパターンを放置していくと人が壊れるのはもちろん、組織が壊れていく。愚直に対策に書かれている内容に取り組んでいくことでしか組織を改善していく道はないのだろうと改めて感じさせられた。

読書メモ:
・指示が曖昧な状態でタスクを進めると、 担当者は何を求められているのかが正確にわからないため、必然的にアウトプットの品質がタスクを指示した側から見て不十分なものとなる ことがしばしばあります。そして、アウトプットの品質を高めるためにネガティブなフィードバックを返されると、担当者は困難を解決したにもかかわらずマイナスの評価を返されたと感じて、自信を喪失したり、マネージャーに対し不信感を抱くことになるでしょう。

・マネージャーがタスクを引き取るようになってしまうと、チーム全体のアウトプットの量を大幅に制限してしまうことになります。さらに、業務量とアウトプットの質に対するストレスで自分自身が病んでしまうかもしれません。  チームの可能性を引き出すには、各メンバーが意欲を持ってタスクに取り組み、創意工夫を発揮できるようにするため、「仕事を任せること」が必要ですが、それには適切なタスクマネジメントを実施する必要があります。「タスクを丸投げする」のと「仕事を任せること」の違いは、 適切な指示があるかないか です。

・「正確な指示出し」は経験とスキル、安定した精神を必要とする専門的な技能なのです。

・「正確な指示出し」は指示を出す側のプロジェクト全体に対する責任である という自覚を明確に持って取り組んでいくことが求められます。

・ギブアップまでの期間は個人差があっても、長時間労働がもたらす生産性への影響はそれほど変わりません。  長時間労働が常態化している組織では、「タフであること」を良しとする風潮があることがあります。たとえば、「残業続きでも平気で毎日朝まで飲みに行く」ことを誇らしげに語ったり、そのことが周囲に評判として広がったりするようなケースです。しかし、こうした人でも日々の仕事における判断の質や作業量を精査してみると、大きく生産性が下がっていることがわかるでしょう。 タフさを誇る文化があるということは、適切なマネジメントが行われていない証拠でもあります。

・特に、プレイヤーとしての能力が評価されてマネージャーになった人の場合は自身のプレイヤーとしてのスキルが高いために指示が細かく、自分が良しとする方法以外の進め方を否定してしまう傾向にあります。

・担当者のアウトプットに対して適切なフィードバックを示さないマネージャーは、しばしば「仕事だから黙ってやれよ」や「仕事の成果は精度が高くて当たり前」という考え方を持っていることがあります。特に叩き上げで黙々と作業を行って成果を出してきた人は無意識にそういった考えを持っており、それが部下やメンバーへの話し方や態度に出る傾向があります。

・非現実的な計画によるプロジェクトの失敗を避けるには、ただ一つの方法しかありません。それは「積み上げ式で必要な工数を見積って計画を立て、要件変更や追加要件が入った際は必ず再計画を実施する」 ということです。当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、前掲の図で見た通り、それができていないことで失敗するプロジェクトが今も後を絶たないのです。  

・意思決定が一部のリーダーや経営陣だけで行われ、現場のメンバーがその過程に参加できない場合、チームの士気や協力体制が壊れる原因となります。このような状況は特に、上意下達の傾向が強い組織において、複雑で長期にわたるプロジェクトが行われる場合に顕著に表れます。

・プロジェクト実行チームの責任だけで失敗することは多くなく、また事業投資の観点でも上層部や発注者には大きな責任があります。権威主義的な組織ではこの責任についての認識が欠けていることがありますが、「事業のためにプロジェクトを実施している」という認識の元、責任の追及ではなく適切な対処が行われるようにします。

・②オンラインでの視覚的な情報を増やす  オンライン会議ではできるだけビデオをオンにすることを推奨し、メンバーの表情や反応を観察できる環境を整えます。

・この罪悪感や自己犠牲の考え方はチームや組織の文化にも影響を及ぼします。たとえば、マネージャーや一部のメンバーがプライベートの時間を犠牲にして働いている場合、それが暗黙の期待となり、他のメンバーも同じように働かなければならないというプレッシャーを感じるようになったり、自己犠牲を行わない人を批判する考え方が生じたりすることがあります。この「過剰な自己犠牲の文化」が広がると、チーム全体が過労状態に陥り、最終的には全員が疲弊してプロジェクトや組織の生産性・効率性が大幅に低下してしまう 可能性があり

・マネージャーが明示的に昼食の時間を取ったり、営業時間外の連絡を控えるなど、模範的な行動を示します。

・会議の多い組織では、しばしば集中できる時間が残業の時間だけ、ということになりがち です。

・特に本音を伏せて前向きな理由として離脱の意図が伝えられる場合は、組織側も「個人の人生上の新しいチャレンジ」として受け止めるため、本質的な問題が解決されずに事態が深刻化してしまいます。


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